さくらの空
気になることがないわけでもない。

いわゆるスパムメールというやつには怪しい添付ファイルかURLの一つや二つついているものである。


それが一切なく、しかも1行で完結しているスパムメールなんて聞いたこともない。



そしてもう一つ。


一番奇妙なのは、このおかしなメールが届いてからというもの毎晩あの不思議な夢を見るようになったことだ。


もちろん千秋に夢の事は話していない。

話したら間違いなく宇宙人の電波がどうのこうのといい始めるに決まっている。




「・・・んぱい。夏樹先輩！」

「あぁ、ごめんごめん。少し考え事してた。」

「もうしっかりしてくださいよ。で、返信はするんですよね？ね？」

そこ、目を輝かせるな。ていうかなぜ涙ぐむ？

「メール書いてくれなきゃ、先輩がセクハラしたって言いふらしてやる～」

こうなると、もはや彼女には手がつけられない。

なんだかんだいって千秋には逆らえない自分が情けないところではあるが。
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表紙・目次

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