好きになるまで待ってなんていられない
そんな言い方をしておいて、少しずつボタンを外し、少しずつ唇を這わせてくる。大胆には脱がせない。これは優しいのか、実は意地悪なのか、どっちなんだろう。
ボタンが下まで外された。
「…大人の身体になったな」
モノは言いようだわ…。
「時間…大丈夫だろ?用があるなんて言っても、まだまだ連れて帰らないけどな…ん」
はぁぁ。…これでは熱が増すばかり。
「…灯、本気で今は割り切ってくれ。今だけは俺を感じてくれないか…」
ぁ、…。解ってます。そんなに…。
「そんなに…話さないで…」
「ん?」
「ぁ、声に……感じるから…話さないで」
「ん…灯…」
「ん゙ん…わざとですよね…今の」
耳元で話していた唇を、首に触れさせながら呼ぶなんて…。
「狡い…前より狡くなった」
「…灯、冗談じゃないんだ…。一杯…。…何度もしたいんだ…」
あ、…、返事はしない。まだこれからだから解らない。
…三人目の子供さんが出来たタイミングでして以来、社長はどうしていたんだろう。
脇目も振らず…仕事に邁進してたという事だろうか。…有り得ない。そんな…男盛りの時に有り得ない…。
「…ん?今度は何を考えている?」
「ぁ……社長の…セックス事情?」
…。
「フッ。…滅多な事言ってると、虐めるぞ?はぁ…。俺はな、健康な男だけど、灯に操を立ててたぞ?信じなくてもいい…だけど本当だからな」
何もしなかったの?男盛りの時に?何年も?誰とも本当にしなかったの?…。
「灯が膝丈のタイトスカートを穿いて来た時、後ろにスリットが入っててドキッとしたよ。そのうえ腰のラインがこう出るだろ?膝下もスラッと綺麗だし、…大変だった。冬のピタッとした薄手のセーターなんかも、バストラインからの括れだ…あれは…鎮めるのに大変だよ」
…。
仕事中でしょ?つまり何ですか?年がら年中、発情してたって事ですか?じゃ、尚更、どうしたの?
…やっ。思わず身体をよじった。ツーッと脚を撫でられた。
「ヌーディーなストッキングなんか穿いてる時は、生足なんだかどっちなんだか、思わずジッと見たりして…触って確かめたいと思ったよ。穿いてるなら穿いてるで、破ってみたいと思ったりして…」
「あ、もう、もういいです。性癖を垣間見ているようで…もういいです」
何を着ていても、何かしら……じゃないですか…。妄想で済む事だったのかしらね…。
…違うと思う。絶対違う。
「だから俺はどんな灯も好きだと言っただろ?どんなは全て、全ては何もかもの事だ。丸ごとだ」
……私は。
「また何か考えようとしてるな…。大体、裸になっといて喋ってるからだよな。もう、する事しないとな…咬みつきたい気分だ」
あ、…。ん…。