好きになるまで待ってなんていられない
何だか解らない。
あいつが私に沢山触れたから、…女の部分が頭を占めて、そんな時にメールなんかやりとりしたから、社長が出て来たのかな…。
頭は鮮明で、肉体は疲れているからなのだろうか。
はぁ。何にせよ、もう…過ぎた事だ。通過点では無い。点は無い。社長との事はサッと通り過ぎただけの事だ。
そう思う事にしたから…、今でも続けて仕事に行けているのだ。
ん〜。身体が楽になってる。熱も引いてる気がする。
夜、来るって言ってたけど、ご飯はどうするのかな。
案外、一度帰ってから来たりするのかも。
なんか食べたいなら、不本意ながら、出来た物の冷凍だって大量にストックしてある。
最悪、飢えさせる事は無い。
「誰を飢えさせないって?」
っ?!。……びっくりした。
「いつ来たの?いつからここに居たの?」
音も無く傍に居た。
「ちょっと前」
「私、起きてた?」
「寝てたところに来た」
…そんな。
「嘘だ。今来たばっかり」
あ、…。
「熱、引いたみたいだな」
「…うん。しこたま寝たから」
無防備な心ごと、いきなり抱き寄せないで欲しい。抱きしめられて…ドキドキしたら、身体は簡単に熱くなる。
「今、何時?」
「ん…7時過ぎくらいだ」
「ご飯は?」
「まだ」
「ねえ?今日のお昼ご飯有難う。私、貴方の分を食べちゃったの?」
「そう言われたらそうだけど、俺は別の物、食べたから」
「本当に?」
「ああ。ちゃんと食わなきゃ仕事は出来ない。俺の仕事、身体、使うっちゃ使うんだから。
食べたよ」
「ごめんなさい…、有難う。今日、どうするの?ご飯はうちで食べるの?家に帰って?あと、どうするの?」
「急にどうした?そんなに気にして」
「あ、…うん。私、ただ寝てただけで何もしてなくて、でも、お昼も今も、こうして様子を見に来てくれてるから…」
「様子、見に来たんじゃ無い。会いたいから来てるんだ」
…。ズキ。
「…響く」
「ん?」
「そんな事言わないで…、身体に悪い…」
「は、何だ?どういう意味だ?」
「…解らなくていいです」
「フ。飢えてるんだけど、俺」
「あー、じゃあ、リクエストは?何が食べたいか言って見て?直ぐ食べたい?なら、餃子とか、ハンバーグとか冷凍物なら早く出来るから…」
「リクエストは、あんただ。直ぐ食べたい」
「だから…、そんな言葉、身体に悪いって言ってるのに…心臓だって痛い。聞いただけで…もう、熱が出てくる」
「まだ早いから大丈夫だ」
…意味が解らない理屈。唇が触れた。ギュッと抱きしめられた。耳元から首に唇が触れていった。
……今日、ずっと異空間に居るみたいな日なのに。
現実味が無い日…。
ふわふわと…頭に身体がついて来てないのに。