好きになるまで待ってなんていられない
いけない。疑問を持ち始めるとつい話し掛けたくなってくる。
…そうだ、内面が変わったというか、普段言わない事を口に出しているからだろう。だから印象が違うんだ。
「昔から円満なんかじゃ無かった。最初からな」
「え?」
円満?…夫婦の話?
「結婚して直ぐ一人目が出来た。…直ぐだ。その頃から名ばかりの夫婦だ。お互いにな。冷えるの早いだろ?…子供が居たらなんとかなる、続けられると思ったんだと思う。…あいつがな」
ん?…だから。奥さんが欲しがるからって言ってたっけ。ではあの頃の…三人目は?
男の子が年子で続いたから、女の子が欲しかったのかな、奥さん。その望みに応えて?
冷えてるのに?子作りの為に…したの?…そんなモノなの?…義務?
「なあ、成美。人が居るのに寂しいって感じ、解るか?」
まあ、その感覚は解らないでもないけど、実体験は無い。
「経験者にしか解らない事だと思います」
「フ。成美らしいな。慰めの言葉は言わない」
あー解りますぅ、なんて…知ったかぶりで言えないでしょ。軽い話じゃないのだし。
「簡単に、解りますよ、なんて言えません」
「ああ、解ってる。…そういうとこだよな、多分」
「はい?」
何が?
「お前は全然だ。終わりにしようって言ってみたら、何も言わなかった。だから、終わりにした」
…。心拍数が少し早まって来た。ざわざわする。
「あ、そこにでも入るか」
「あ、はい…」
…ファミレス。家族連れとか多く居るのに大丈夫なんだろうか。離婚する事になったとは言ったが、子供さんはどうするんだろう。こうして行く先々で年の似通った余所の子供を見ると辛いんじゃないかな。
「社長はしっかり食べてください。私はあまり食欲が無いので、単品でサラダとか軽い物にしますから」
「ん」