苦手な言葉レンタルします！「辞めます！」編

言野に手渡された巾着袋を沢木は、左手でそっと握ってみた。
「辞めます！という言葉でしたら、ココでは云えて当然ですが、ちょっと良かったら練習がてら口にしてみて下さい！」
言野霊子の言葉には妙な説得力がる。やっぱり、こういうちょっと怪しい商売をしている以上何か不思議な力の持ち主なのだろう。

「では、ちょっとやってみます。「辞めさせてもらいます！」」
実際に巾着を持って口にしたその言葉は、今まで、独りで口にした時とは違い、言葉に重みとパワーがある感じがする。
「イケそうです。何か良く解らないけど、この巾着の中から凄いパワーをもらってる感じがしますよ！」

「では、一週間後に返却をお願いしますね！。ご幸運をお祈りしています！」
「はい、早速明日にでも実行に移します。成功したら、すぐにでも返却に来ますから」
「いや、そんなにお急ぎにならなくても結構ですよ。沢木さんの場合、相手が会社ですからね、引きとめがあったりして何度か違う方へ「辞めさせてもらいます！」と云わないといけない羽目になるやも知れませんしね」