好きって言ったら、どうする?
***
「……なぁ。」
───真冬の海を
2人で一緒に
黙って眺めていたら、
不意に…隣に座る彼が口を開いた。
波風に吹かれながら
彼を見上げて
私は視線で、返事をする。
「……もしも、の話だけどよ。」
彼は
何だか少し寂しそうな声で
私を真っ直ぐ見つめながら、呟いた。
そして
寒い冬風が弱く吹いて
互いの頬を冷たくする中───
「…もし、俺が好きって言ったら
…お前 どうする?」
─────彼が静かに そう呟いた。
彼は
そう言いながら、
驚いて目を見開く私を 真剣に───
だけどどこか切なげに
少し目を伏せて
真っ直ぐ見つめてくる。
……その言葉に
私の心臓は、嫌に音を立てて
高鳴りを示す───。
「……何言ってるんですか。」
私はそれを知られないように
彼に隠しながら
薄く笑みを浮かべて
静かに─────返事を返した。
「勇さん…彼女いるじゃないですか。」
───そう。ただ、そう返した。
それを聞いて
彼は切なげな視線を 一瞬だけ下げた。
しかしすぐに私から顔を背け
また前に 視線を戻す。
「……そうだな。
…確かに、ありえねェな。」
「…はい。」
お互いにそう言いながら
どこか寂しい余韻が残って
私は…胸を痛めた。
───何で、そんなこと言うの?
(…諦めるって、決めたばっかりなのに。)
私はそう思いながら
静かに目を閉じて
膝に置いた手を ギュッと握る。
そんな私を
彼は黙って 見つめていた───。
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