好きって言ったら、どうする?
人混みを逆走して
目的地もわからず
どんどん進んでいく勇さん。
そしてやがて───
何となく、心当たりのある道へと
外れていった。
(……あれ……この道……。)
人混みから外れた、裏道。
そこから見える景色や
道の特徴に、私は確信を覚える。
……多分、間違いない。
「………っ、あ…!」
「……!」
そして
そんなことを思っているうちに
その『目的地』が
私たちの視界に、現れた───。
「勇さん、海が……!」
「……あぁ…。」
海辺に到着して
私たちはその場に立ち止まり
目の前に見える波の様子を
静かに眺める。
まさかこんな展開で
海に到着するとは思わず
私は海を眺めながら 目を丸くした。
そんな私の手を引いて
勇さんが
ゆっくり海辺を歩き始める。
───すでに日は沈んで 外は暗かった。