好きって言ったら、どうする?
「………。」
「………。」
お互い黙ったまま
静かに砂浜を歩いていく。
波の音が静かに2人の沈黙を邪魔して
そんな状況に
私は変に緊張を覚えた。
(………勇さん…黙ったままだなぁ…。)
私は隣の彼を見上げることなく
心の中で そんな風に思う。
人混みから離れてもなお
繋がれている手に
神経が集中する───。
今勇さんが
どんな顔をしているのか
私には覗く勇気がなくて
彼の方を 見上げられずにいた。
……まだ、怒ってるかな……。
「………柑奈。」
「!」
そんな風に思っている時
不意に───勇さんが私の名前を呼ぶ。
少しビクッとしながら
隣の彼を見上げれば
勇さんは少し
バツの悪そうな顔をして
手を繋いでいない方の手を
自身の首元に 当てていた。
「……悪い。」
そして
静かに
私へそう告げると
まるで私の様子を伺うように
こちらへ 視線を向けてくる。
───その時の勇さんの頬が
何となく、少し赤くなってるように見えて
私は、思わず小さく 息を飲んだ。
「………何か、我慢できなかった。」
「え……?」
「お前らが2人でいるとこ……
何か、見てらんなかったんだよ。」
そして勇さんが
そんな私に
続けてこんなことを言ってきて───
(っ………え……?)
私はそれを聞いて
鼓動が───激しく鳴り始める。