好きって言ったら、どうする?
「………悪い、戻るか。」
「っ、え……!」
私が勇さんの言葉に
返事をせずに固まっていれば
勇さんはそれを見て
申し訳なさそうに 踵を返そうとする。
私はそんな彼の行動に
思わず、手をギュッと握って
それを引き止めた。
「───!」
「あ、あの……
大丈夫です。気にしてないです…っ!」
そして続けて 私がそう言うと
勇さんは引き返そうとするのをやめて
私の方に 体を向ける。
「……それで、あの……
今日はここから…花火見ませんか。」
「……ここで?」
「は、はい。
実はここ、花火がよく見える穴場スポットらしくて…っ。」
勇さんは
私がそう言ったのを聞くと
僅かに、口角を上げて
そのまま頷いた。
「確かに…
ここならゆっくり見れて 良いかもな。」
「は、はい…。」
優しい口調でそう言いながら
視線を私から
広がる海に移す勇さん。
そして
手を握ったまま
2人で海辺を眺めていたら
不意に───
大きな音が海辺に響いて、
空に……綺麗な花火が 打ち上がった。