好きって言ったら、どうする?
(………?)
そんな勇さんの仕草に
私は少し疑問に思いながらも
彼がそう言うなら、と
それ以上は何も追求せずに
打ち上がる花火に
視線を戻した。
───ドォォォンッ、と弾ける音が
2人の胸に
静かに響いていく。
(……………この景色……
また来年も……2人で……)
───バァァァンッ!と、また
大きな音を立てながら
打ち上がる華を見上げて
私は そんなことを思う。
繋いでいるこの手が
2人で海辺にいられているこの瞬間が
きっと一生の
私の思い出になる───。
私は目の前の景色を見上げながら
そう確信していた。
(………来年も、また2人で来れたら)
欲張るようなことを願いながら
その願いが叶うように
花火に思いを込め
そっと───目を閉じた。
「………。」
そんな私を
隣で彼が
静かに見下ろしていたのを
私は、知らない───。