好きって言ったら、どうする?
───しかし、
そんな風に
花火を堪能していると
…突然
ポツッ、と
何かで 頬が濡れたことに気付く。
───これは、まさか。
「………雨……?」
「………。」
閉じていた目を開けて、
濡れた頬に手を伝すと
それは明らかに
空から降ってきたものだった。
勇さんもそれに気づいたのか、
空を1度見上げてから
私の手をクイッと優しく引っ張る。
「多分すぐ降る。戻ろう。」
「は、はい。」
勇さんの言葉に
私はそう言って頷くと
彼に手を引かれるまま
足早に海辺を出て
来た道を戻り始めた。
───しかし
「っ…!」
「わぁ!すごいっ…急に…!!」
来た道を戻る途中で
勇さんの言った通り
雨はすぐに降り始めて
私たちが待ち合わせていた場所付近に
到着した頃には
もうすでに本降りになって───。
「っ…柑奈、あそこまで走るぞ。」
「え、わぁ…?!」
お互いに浴衣のまま
ビショ濡れになってしまい
遠目に見えた雨宿りできる場所まで
勇さんが私の手を引いて
走っていく。
それに引っ張られるようにして
私も一生懸命、そこまで走った。