好きって言ったら、どうする?
「………どうすっか…これ…。」
「あ……。」
そしてふと
勇さんが、手に持っていた
ビニール袋を掲げて
私はそれを見て
小さく声を漏らす。
…そうだ、海に行く前に
勇さんが焼きそば買ってきてくれたんだった…。
「雨でやられてっから捨てるしかねェけど……ゴミ箱ねェよな。」
「す、すみません…せっかく買ってもらたのに…っ。」
「いいって別に。
雨なら仕方ねェよ。」
勇さんはそう言いながら
キョロキョロと周りを見渡して
ゴミ箱を探すけれど
この近くにそんなものの姿はなく
勇さんはそれを
とりあえず下に置いて
そして自分の濡れた浴衣の袖を
ギュッ---と、軽く絞った。
「……ずっとここにいるわけにもいかねェし……困ったな。」
「そうですね……。」
止む気配のない空を見上げながら
悩ましい声を零す勇さん。
そして隣に立つ私を
チラッと見上げてから
少し考えるように黙って───
そして不意に
私に向かって こう尋ねた。
「こっから1番近ェの、俺んとこだけど……どうする?」