好きって言ったら、どうする?
(………え…?)
私は勇さんの突然のその言葉に
驚いて止まり、
言葉を詰まらせる。
……ど、どうする…って??
私は 彼の言葉の意味がよくわからず
混乱すると同時に
反射的に-----鼓動をパクパクと鳴らせた。
「風呂と着替えと傘なら適当に貸せるけど……それより直で家帰るか?」
「っ……あ…。」
(あ、そ、そういうことか……。)
私は勇さんの言葉を聞いて
そこでやっと、言葉の意味に
ハッキリと気付く。
な、なんだぁ…なるほど……!
何となく勝手に
『また泊まるか?』なんて感じの展開になってしまうのかと思ったけど…
そ、そういうことね……っ。
(は、恥ずかしい……っ。
これじゃまるで私変態みたいだよ…っ。)
勝手にわけのわからない期待と
勘違いをしていた自分に
私は恥ずかしくなりながらも
勇さんの言葉に
こくっ、と頷いて答える。
「そ、それじゃああの…
お言葉に甘えても良いでしょうか…っ。」
「ん、わかった。」
勇さんは私の答えを聞くと
しゃがんでいた体を立たせて、
再び 濡れた髪をかきあげた。
そして 周りの様子を何度か見渡してから
覚悟を決めたようにして
「よし。」と声を漏らす。
それと同時に、再び私の手を掴んだ。
───雨の中を、2人で駆けていく。