好きって言ったら、どうする?
───そして
私が来ていたTシャツを着替え
勇さんもお風呂場から上がると
お互いに ざっと髪の毛を乾かして
荷物を整える。
「…忘れ物…は別に無ェか。」
「はい、大丈夫です。」
「じゃあ行くか。」
勇さんはそう言って
玄関に向かい、適当に靴を履く。
私は自分の下駄を履いて
袋を肩にかけ、玄関を出た。
「あ…雨、弱まりましたね。」
「…だな。」
私がそう言うと
勇さんも外の様子を見て 軽く頷く。
外に出てみると
さっきよりもだいぶ雨は弱まり、
豪雨では無くなっていた。
勇さんは私に傘を手渡して、
自分も別の傘を手に取る。
傘をさしながら階段を降りて
いつもの、私の家への帰り道を
2人で歩き始めた。
「花火、あの場所本当に穴場だったな。」
「はい。すごくよく見える場所なのに
意外と知られてないみたいですね。」
隣を歩きながら 勇さんがそう言い
私も花火を思い出し、笑顔でそう答える。
(カナが言わなかったら、私も全然思い浮かばなかった案だもん…。)
さすがカナ様…と
心の中で改めてまたカナに感謝した。
「…来年も見るならあそこだな。」
私がそんなことを隣で考えていれば
不意に
勇さんがさりげないトーンで
そんなことを呟く。
私はそれを聞いて
少し驚きながら、隣の勇さんを見上げた。
───すると勇さんも、こちらを見下ろしていて。
「…何そんな驚いてんだよ。」
「っ……え…。」
「来年リベンジするって、言っただろ。」
そう優しく、私に告げる。
私はそんな彼の言葉に
ドキドキ---と胸を高鳴らせながら
笑顔を浮かべて、コクコクと頷いた。
───来年も、勇さんと行ける。
私はその約束に
心が熱く満たされるのを感じながら
降っている雨など関係なく
笑顔で勇さんの隣を歩いた。