好きって言ったら、どうする?
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そしてその後
授業を終えて
帰りのホームルームも終了。
それと同時に
いつものように
カナが私のところへやってくる。
「柑奈、帰ろー。」
「あ…カナ、ごめん。
今日は一緒に帰れないや。」
私は荷物を鞄に詰めながら
カナにそう断りを入れて
そしてカナの方に 顔を向けた。
カナは私のその言葉に
つまらなそうに口を尖らせて
「えー。」と駄々を込めるような声を漏らす。
「私今日用事があって…。
どうしても外せないんだ。」
「えー、そうなの?」
「うん、ごめんね。
また今度遊びに行こう。」
そう言って、私はカナに
眉を下げながらお詫びを入れて
鞄を、肩にかける。
「そっかー。じゃあ仕方ないね。
ん、また今度ねー!」
「うん、バイバイ。また明日ね。」
そう言って
私は肝心な『紙袋』を手に持って
カナに手を振り、教室を出る。
───今日はこの後、お店を訪ねる。
(勇さん、今日お店にいるかな…。)
学校を出て、お店までの道を歩きながら
心の中でそう呟く。
紙袋に入っているのは
昨日勇さんに借りた、Tシャツ。
それと、昨日のお礼にと買ってきた
お菓子が中に入っていた。
…勇さん、お菓子食べるか分からないけど。
(………あ、店長さんだ。)
少しそんな心配をしながら
紙袋のお菓子を眺めていると
見えてきたお店の前に
店長さんらしき人が立っているのが、目に入った。
私は足早に そこへ向かう。
「店長さん!」
「ん?
おぉ、柑奈ちゃん!」
私が声をかけると
店長さんはすぐに気がついて
いつものように
元気よく私の名前を呼んで 片手を挙げた。
「店長さん、今日勇さんって
バイト入ってますか?」
「ん?あ〜……いや、勇は…。」
私がそう尋ねると
途端に店長さんは言葉を濁らせて
困ったように眉を寄せ
斜め上に視線を逸らす。