好きって言ったら、どうする?
「……なぁ。」
「ん。」
「進藤くんて、彼女おる?」
(──────。)
そして唐突に、そんな質問をされて
俺は皿を洗う手を止めて
金田の方を見た。
金田は少し真面目な顔をしながら
俺を見ていて
俺はその視線から逃げるように
また、自分の手元に視線を戻した。
「……いねぇよ。」
「ふーん、そうなんや。
じゃあ好きな子は?」
──────ガチャンッ
そう尋ねられた時
俺は思わず、シンクの中で
軽く食器を落として
そんな音を立ててしまう。
………動揺しすぎだろ、俺。
「え……おるん?」
「………だったら何だよ。」
「……いや、別に。」
俺の反応を見て
驚いたように目を丸くする金田に
俺はそう無愛想に返すと
金田は止めていた箸を手にして
ラーメンを食べる手を再開させた。
……何だったんだよ今の質問。
(意味わかんねぇ……。)
俺はそう思いながら
洗い物を済ませて食器を戻す頃
時間が10時近くになってきて
俺は閉店の準備を始める。
そしてそれから少しして
金田も食べ終わって
俺が暖簾を片そうと外に出た時に
店からふと 顔をのぞかせた。
「………何?」
「なぁ、進藤くんの好きな人って
大学の女の子の誰か?」
「またその話か。」
何でそんなに知りてぇんだよ、と
俺が金田に返すと
金田は「えーから答えて!」と
俺に迫ってくる。
……ったく、本当に何なんだよ。