好きって言ったら、どうする?
「……違ェよ。」
「え、違うん?!
じゃあ…高校の同級生とか?」
「違う。」
もういいだろ、と
俺が暖簾を取り外して
金田にそう言うと
金田はまだまだ!と言わんばかりに
店の入り口から、退こうとしない。
……絶対当たんねェのに、いつまで粘るつもりなんだこいつ。
「じゃあ中学の同級生!」
「違う。」
「小学校の同級生!」
「違う。」
「えぇ?!
…じゃ、じゃあ幼稚園?!」
(この調子じゃ絶対当たんねェな。)
そう思いながら
俺にそう尋ねてくる金田に
首を横に振ると
「えー?!」と
わけがわからないという顔をして
金田が俺を見てくる。
…そもそも、同級生じゃねェし。
「じゃあ……他大の同級生!」
「違う。」
「うっ……じゃあ誰かの姉か妹?!」
「ちげーよ。
もう諦めろ。絶対当たんねェから。」
必死になって当てようとする金田に
俺は小さく吹き出しながら
そう言うと
金田はそんな俺を見て
一瞬目を丸くする。
そしてすぐに笑顔になって
俺の肩をバシッと叩いた。
「進藤くん笑った!今笑ったやろ!」
「あ?…だったら何だよ。」
「進藤くん笑った方がええよ!
今のめっちゃ良かったで!!」
普段もそうしぃや!と
俺に言いながら
肩にポンっと手を置く金田に
俺は「何だそれ。」と返す。
────そんな時
少し離れた所から
俺の知っているある名前が
小さく、耳に聞こえた気がした。