好きって言ったら、どうする?
「…は?」
そして
思わず柑奈の言葉に
そんな声が漏れた。
……1人で帰るって?
「家だってすぐそこですし、
早足で帰れば本当すぐ着きますから。」
「………。」
「だから、1人で帰れます。」
勇さんも送らなくて平気ですよ、と
俺に笑顔を向けてくる柑奈。
─────俺はその時に一瞬
柑奈のこの態度に、イラッとした。
………何言ってんの、こいつ。
「お前、それ本気で言ってんの?」
「…え…?」
「それとも忘れてんのか?
制服で夜中いた結果、どうなんのか。」
俺がイラついた声でそう言うと
柑奈はビクッと肩を揺らしながら
俺に驚いた顔を向ける。
まさか、俺が怒るなんて思っていなかったんだろう。
けど
未だに自覚がない柑奈に
俺は言葉が止まらなかった。
「それとも何、ナンパされてェの?」
「っ……そんなんじゃ…。」
「だったらもっと自覚持てよ。
1回で学べっつってんの。」
俺がそう言って
柑奈を目の前から見下ろすと
これまでビクついていた柑奈が
ふとムッとした顔をして
拳を下で、ギュッと強く作る。
そして
顔を下に伏せながら、
俺に 静かに反論してきた。
「私だって子供じゃないですし
1人でだって帰れます…っ。」
「あ?こんなんは大人だろうが子供だろうが関係ねェんだよ。」
「っ……じゃあ走って帰りますっ。
それなら文句ないでしょ!!」
そう言いながら声を荒げて
俺に向かって顔を上げた柑奈。
俺はそれに対して
再び言葉を返そうとしたが
その柑奈の顔を見た瞬間───
俺は言葉を詰まらせて
思わず、息を飲んだ。