好きって言ったら、どうする?
「っ……おま、何で泣いて……。」
「───っ、さよなら…!!」
「!?」
───そうして
なぜか涙を浮かべていた柑奈が
俺の言葉に答えることなく
勢い良く店を飛び出していく。
っ…何であいつ涙なんか……。
(いや、それより追いかけねェと──っ。)
俺は一瞬、あいつの泣き顔に怯むも
優先すべきことを思い出して
慌てて店の外に出た。
────しかし
そんな時に限ってタイミング良く
事は起こるもんらしい。
「っ……北澤……?」
───そう言った
聞き覚えのある声に気づいて
俺は暗闇の奥に見える
2人の姿に 目を向けた。
するとそこには
柑奈の───あの『友達』が
あいつの体を抱きとめていて…
「どうしたの…って…
あれ…北澤、泣いてる…?」
「っ、あ…違うの、これは……っ。」
「………。」
そんな2人の会話が聞こえて
俺は思わず 店の前で立ち止まった。
柑奈は こっちに背を向けていて
俺の事に気づいていない。
しかし
男の方はふと顔を上げると
ふと俺と目が合って
それから───柑奈に、視線を戻した。
俺はその 男の行動を見て
胸の奥の何かがズキッと痛むのを感じる。
……柑奈の
涙の原因を察したようなあの仕草が
無性に───イラッとした。