好きって言ったら、どうする?
そう分かった途端
私は胸の奥が苦しくなるのを感じて
心臓が ドクドクと鳴った。
この街から出るなんて
そんなこと考えもしなかったし
正直、他の大学なら
すぐに受けることをやめていたと思う。
でも
この大学だけは 特別だから───
すぐに受験をやめる、という答えには
どうしても至れなくて…。
そんな風に
私が黙って答えを渋っていると
先生は小さく苦笑いを浮かべながら
私に言う。
「まぁ、これはお前だけで決められる問題でもないからな。
親と話し合いながら、考えてみな。」
「…はい……。」
先生の言葉に頷いて、私がそう答えると
先生は「話は終わりだ。」と言って
私と一緒に教室から出た。
先生は職員室の方へ戻って行って
私も荷物を取りに、教室に戻る。
「……あ!柑奈おかえり!」
「…あ……カナ、待っててくれたの?」
教室に戻ると
私を待っててくれたのか、
カナが携帯から顔を上げて私を出迎え
「帰ろー!」と、笑顔で駆け寄ってきた。
けれど
私の浮かない表情を見て
何かを察したように
こちらの顔を覗き込む。
「……どうしたの?
先生に何か言われた?」
「………うん……あのね……。」
そう尋ねてくるカナに
私は先生に言われたことを
軽くカナに話した。
行きたい大学が
やっと視野に入ってきたこと、
そして
その大学が
地方にあるということも。