好きって言ったら、どうする?
そんなことを思いながら
グラスを持ってドリンクバーから離れる。
金田もグラスを持って
一緒に部屋に向かうと
その途中────
不意に
近くから…
いつかのデジャヴのような会話が、耳に入ってきた。
「俺らの部屋おいでよ〜。
お菓子とかも頼んであるしさぁ。」
「や、やめてください…離して…っ。」
「いいじゃん少しくらい。
一緒に楽しもうよ〜。」
廊下の突き当たり辺り───
トイレか何かの帰りに絡まれたのか、
そこらへんから そんな会話が聞こえる。
2人くらいの女の声と
数人の男の声。
何でこんな所でナンパすんだよ…、と
半ば呆れながら
少しうんざりしていると
ふと聞こえた声に
俺はピクッ───と 反応した。
「っ…やめてください!
店員さん呼びますよ…っ!」
(──────!)
そう言って
男達から逃げようとする声が
耳に入ってきて
俺は思わず その場に立ち止まった。
……やっぱり、思った通りだ。
俺はそう思いながら
まだすぐ近くだったドリンクバーに
グラスを置いて
戸惑う金田をその場に
声の聞こえる『そこ』へ───進んでいく。
「ここから呼んでも 店員気づかねーと思うけど?
ほら…大人しくこっち来なよ!」
「きゃっ…!!」
「か、柑奈ちゃん!!」
すぐ近くで聞こえる『その声』。
そして
悲鳴をあげた声を聞くと同時に
俺の腕が───男の肩にかかった。
▲勇side END▲