好きって言ったら、どうする?
助かった……
私はそう思いながら
友達と顔を見合わせる。
友達も安心したように笑っていて
そしてそれから、彼を見た。
「勇さん…ありがとうございました。」
「あ、ありがとうございました…!」
私と友達がそうお礼を言って
頭をさげると
勇さんは相変わらずのトーンで
「別に。」と短く答える。
でもやっぱり、声が…優しい。
「柑奈ちゃんの知り合い…?」
「…うん。そうなの。」
「そうなんだ?
あ…じゃあ私は先戻っておくね。」
皆には伝えておくから!、と
私と勇さんに
話す時間を与えようと
友達がその場を離れていく。
私がそれに頷いて
「ありがとう。」と言うと
その子は笑顔で頷き返して
部屋に 戻って行った。
─────そして、2人の時間が訪れる。
「…今日、塾じゃねぇの?」
「あ……夕方まで自習して、
その後息抜きで 皆で来たんです。」
「へぇ……。
まぁ、夏頑張ってたもんな。」
「はい。」
私の説明を聞いて
納得したようにそう言う勇さん。
───考えてみれば、勇さんと会うのは
あの誕生会以来。
気まずくて距離を置いてしまっていたのがまるで嘘のように
こうして、普通に会話している。
……でもちゃんと、謝らなきゃ…。