好きって言ったら、どうする?
「……あの日言えなかったこと、いつ言おうかずっと考えてた。」
「!」
静かにそう言う勇さんの言葉に
私はハッとして目を開き、
「ぁ……。」と声を漏らす。
勇さんの誕生会の時に言っていた
あの『話』のことだと、すぐに理解した。
「───クリスマス。」
「…え?」
「25日…出来れば 空けておいてほしい。」
静かに
廊下に勇さんの声が小さく響いて
私はそれを聞いて
思わずまた 目を開く。
クリスマス……って………
(な、何でそんな日に……っ。)
大事な話なのは分かってるけど
よりによって何でその日に───と、
私は少し戸惑いながらも
勇さんの言葉に黙って頷いた。
……どう、しよう……っ
(変に、期待しちゃうよ……っ。)
反射的にドキドキしている心音が
静かな2人の空間に響きそうで
妙に緊張する。
真剣な勇さんの顔が
私を捉えて───小さく笑った。
しかし
(っ、あ─────。)
その笑みを見た途端、
私の脳裏に
"あの事"が 思い出される。
まだ勇さんに言えていない…大学の話。
ちゃんと、勇さんには
言っておかないといけないと思っていた。
………私が、地方の大学を受験すると。
「勇さん、私も話が────」
「進藤くん?まだ話し込み中---って
え…柑奈ちゃん…?」
「───!」
私がそう言って
勇さんに話を切り出そうとしたのと
同じタイミングで
廊下の曲がり角から声がして
その声の主が…顔を出す。
私はそれに思わず 目を見開いた。