好きって言ったら、どうする?

*Section8

▼勇side▼









「おい勇、今年のクリスマスはバイトどーする?」

「……あ…。」












───あれから数週間後。






12月半ばに差し掛かり
ふと 店長からそんな質問をされた。







来週はとうとうクリスマス。



そう、『約束の日』。









俺は皿を洗っていた手を止めて
蛇口の水を止めると


そばのタオルで手を拭きながら
店長に告げる。











「すいません、その日は夜…空けておきたいんすけど。」

「だよなぁ、そうだよなぁ。」











そう言うと思ってたぜ、と


半ば溜息を吐くように
そう言う店長。









……何かすんません。











「というかお前、ついに柑奈ちゃんと付き合ったんだな。」

「………は?」











そんなことを思っていたのも束の間



突然、店長から
サラッとそんなことを言われて

俺は一瞬動きを止めた。










…………いや待て待て待て!











「え、いや……付き合ってない、っす…けど。」

「あ?まだ付き合ってねーのお前ら?」

「はぁ……つか、え?何で店長がそんなこと---。」

「何でって、見てりゃ分かるわその位ェ!バレバレなんだよ!」











店長は俺の質問に半笑いでそう答えると
俺の背中をバシッ!と叩いた。









………見てりゃ分かるって…











(嘘だろ……マジかよ……。)










俺は店長の言葉に

思わず口元を手で覆って下を向く。







そんなに…分かりやすかったんだろうか。







自分的には普通に装っていた気がしたが
まさかバレていたとは…




しかも、店長に。









< 250 / 428 >

この作品をシェア

pagetop