好きって言ったら、どうする?
───で。
…承諾した、は良いんだけど……。
「…ねぇ、やっぱり今日行くのやめない?」
「ダメ!そんな調子だとずーーっと進展しないよ?!」
「うぅ…っ。」
お店の前まで来たのに
直前で怖気付く私に カナがそう言う。
営業は始まってるし、
多分この時間なら もう勇さんもいる。
だから、この暖簾をくぐったらすぐ…
「……おい、入んねェのか柑奈?」
「!あ、ごめんなさい、邪魔ですねすみませ───」
(…ん?柑奈?)
後ろから声をかけられ
私は慌ててそう答えるけど、
名前を呼ばれたことに疑問を思って
振り返り、顔をあげた。
「〜〜〜っ!?ゆ、勇さん!?」
「よぉ。…今日は友達連れてきたのか?」
今日は制服のままだな、と
驚き声を上げる私を見下ろしながら
そう言う勇さん。
その手には出前用の箱があって、
出前に行った帰りというのが分かる。
でも何でこんなタイミングにっ…!!
「初めまして、柑奈の友達のカナです。」
「…進藤っす、どーも。」
側でオロオロしている私を放って
2人が挨拶を交わして会釈をする。
それが済むと
勇さんは私の方へ視線を戻して、
箱を持っていないもう片方の手を
私の背中に優しく当てた。