好きって言ったら、どうする?
(可愛いもんにするか シンプルなもんにするか迷うな……。)
俺は黙って商品を見ながら、そう思う。
何となく柑奈が以前着てきた私服なんかを思い出しながら
あいつの系統を思い浮かべるも
いまいち───よく分かんねェ。
そこまでフリフリした感じでもなければ
特別クールな感じでもない。
シンプルなところもあれば
少し女っぽいところもある。
特に偏った好みがあいつにはないらしい。
(…だからって無難にシンプル過ぎてもな……。)
そう思いながら
商品と睨めっこをするように
悩みながら眺めていると
1つ───
何となく目を止めるものがあって、
俺はそれを じっと見た。
小さいハート型の 華奢なネックレス。
形はよくあるものだが、
どこか目を引くものがある
シンプルかつ可愛い要素のあるデザイン。
何となく直感的に 俺はそれが気に入って
静かにジッと眺めていると
先程の店員が寄ってきて
俺の視線の先をたどって
そのネックレスに気がついた。
「そちらの商品は1点物でしてぇ、他に在庫がないんですぅ。」
「…現物限りってことすか?」
「はい。こちらをご検討中ですかぁ?」
店員が笑顔でそう尋ねてきて
俺はそれに「まぁ…」と短く答えると
店員は展示の中からそれを取り出して、
実物を俺の前に出して見せる。
そしてまたペラペラと色んな説明をしてくるが
俺はそれを聞き流しながら
静かに───その実物を見つめた。
(……良いな、これ。)
そして実物を見ながら、そう思う。
───柑奈が付けてるのを想像したら、
何となく 合っている気がしたのだ。