好きって言ったら、どうする?
「××駅前の仲通り!
あそこ毎年でけェツリー飾られんのよ!」
「あぁ、あそこに……。」
「そこのツリー前なら迷わず来れんだろ。
でけェから遠くからも見えるし。」
どうよ!と
店長が自信満々に提案してくる。
(××駅か……まぁあそこなら
良い店も結構あるし、レストランも見つけられそうだな…。)
俺は店長の提案にそう思いながら
「良いっすね。」と返事を返した。
駅もそんな遠くねェし、
あいつの塾の後の時間からでも 特に心配はない。
思わぬ良い提案をもらって
俺は今日 何だかついている気がした。
「それと、告白はロマンチックにな?
女はロマンチックに弱ェからよ!」
「……へぇ。じゃあ店長は 奥さんにそんな感じで告ったんすか。」
「へ?…お、おう!そ、そうともよ!!」
更に俺にアドバイスしてくる店長。
俺はそんな店長に
軽くそう質問し返すと
店長は少ししどろもどろになりながら
笑って、そう誤魔化す。
……絶対やってねぇだろ、この反応。
「ったく、俺のことは良いんだよ!
テメェは自分のことだけ考えやがれ!」
そう思っていたのが顔に出てたのか
店長は俺にそう言うと
再びバシッ!と俺の背中を叩いた。
「っ…。」
「とにかく!自信持って頑張れ!
俺は上手くいくと思ってっから!!」
「はぁ……どうもっす。」
不意に叩かれ
痛みに思わず声を漏らすも
店長の言葉にそう返事をして
軽く会釈をする。
……背中に店長の手形が出来てる気がする。
内心少しそんなことを思いながら
店長と別れて
俺は自分の部屋へと帰った。
───とりあえず、場所も決まって プレゼントも買えた。
(あとは柑奈に連絡して…当日だな。)
そう思いながら
チラッと 自分の持っている紙袋を見る。
……これを渡して、ちゃんとあいつに言う。
(……あと、2日……。)
そう心で呟きながら
俺は部屋の鍵を開けて
静かに中へと入った。
──────この時の俺は
『この日』に何が起きるのか
まだ何も---知らなかった。
▲勇side END▲