好きって言ったら、どうする?
そんな私を見ながらも
要くんは相変わらずの様子。
(……前から思ってたけど…)
もしかしたら要くんは
天然なんだろうか…。
私はふとそう思う。
夏にもこんなことがあったし、
お祭りの時も、髪型や浴衣を普通に褒められた記憶がある。
素直というか率直というか……
不思議そうに「ん?」とこっちを見る要くんを見る限り
特に自覚はないみたいだし…。
(やっぱり天然なんだろうな……。)
この天然たらしな彼の言葉で
何人の子が落とされたんだろう…
そんなことを思いながら
要くんの言葉に照れていると、
要くんがいつものように優しく笑う。
『天使の飯島要』と塾の男子に呼ばれる理由が、今の私にはよく分かる───。
「ありがとう要くん。」
「いえいえ。
それで、どこ行くの?」
「えっと…××駅の仲通りでとりあえず待ち合わせしてるよ。」
私は要くんにそう答えた。
行く場所も
勇さんが決めてくれているらしいけど
私はまだ、聞かされていない。
「え、××駅?」
「? うん、そうだけど…?」
すると
私の答えを聞いた要くんが
驚いたように目を丸くして 私の方を見た。
私がそんな彼の反応に
不思議に思いながら彼へ頷くと
要くんはその驚いた表情のまま、
私に告げる。
「俺も今日××駅行くんだ。
おばあちゃん家がそこだからさ。」
「え、そうなの…?!」
その言葉を聞いて
私は要くんと同じように 目を丸くした。
確かに、これは驚く。
これまで要くんとは遭遇率が高いなぁとは思いながらも
まさか…ここまでかぶるとは。
もしかして前世で双子か何かだったのかな、なんて軽く考えながら
私は思わず「すごい…」と声を漏らした。
「俺達本当によく一緒になるなぁ…すごいね!」
「うん、私もびっくりしちゃった!」
「あはは、すごい奇跡だよね。」
2人で歩きながら
そんな話をして思わず笑う。
そうしているうちに塾に到着し
私達はまた 一緒にエレベーターに乗り込んだ。