好きって言ったら、どうする?





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それから休憩を挟み、計9時間の講義を受け

よくやく、私たちは自由時間になった。






時計を見上げると
時刻は6時を少し過ぎていて




今から行っても少し余裕を持って着ける。










「じゃあ俺らもう行くね。皆ばいばい。」

「…え?!"俺ら"?!」










荷物を片し終わって


鞄を持った要くんが
皆にそう言って挨拶すると





その言葉を聞いた男子が

驚いたような声で
こちらを見てそう言った。










「何、北澤さんの相手って要?!」

「おい要!お前おばあちゃん家行くって嘘だったのかよ?!」

「?!」










そう声をあげて
私たちを指差す男子達。





私と要くんな目を丸くしながら

何のことだ、と思っていたけれど





誤解を招いていると気づいて

要くんが笑いながら、それを訂正する。










「違うよ、何勘違いしてんの。」

「え?!」

「俺らたまたま行き先同じなんだよ。
行く駅が同じだから、一緒に行けるねって話。」











別に俺が北澤と出かけるわけじゃないよ、と


爽やか優しい笑顔を皆に向けて
そう言った要くん。







私もそれに首をブンブン縦に振って
頷き答える。










「んだよ、そーゆーことかよ!
ややこしいわお前ら!」

「えー?ややこしいかな?」

「ややこしい!
お前ら偶然多すぎんだもん!」










まったくよー!と


プンプンしている男子達の言葉に
私は内心苦笑いをした。







確かに、偶然多いもんね私達…。







今朝も要くんと同じことを話したのを思い出す。







そんなことを考えながら
彼らの様子を見ていると





話を終えた要くんが

私の方に振り返って 淡い微笑みを向ける。









「じゃあ行こうか、北澤。」

「あ、うん。行こっか。」










私達はそう言って
皆に改めて挨拶を済ませると




そのままエレベーターに乗り込んで

塾を出た。







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