好きって言ったら、どうする?








そして私の背中を優しく押して
店の中へと入れる。











「え、あ、あの勇さ…!」

「店の前まで来て帰るなんて言うなよ。
いつもんとこ空いてっから、友達連れて座ってな。」











勇さんは表情を変えずに
だけど優しい口調でそう言うと


私の背中から手を離して 厨房へ戻っていく。






私はカナを連れて

大人しく お店の奥のカウンター席に座った。










「なになに、良い感じじゃん!」

「だ、だからそんなんじゃないってば。
仲良いって言っても、一方的にお世話になってるだけだし…。」

「何言ってんの!普通店員さんとここまで仲良くなったりしないって!」











少しは自信持ちなよ!と


カナが私の背中をバシバシ叩く。







自信って…そんなの持てないよ本当に何もないのに…。







私はそう思いながら
カナに向かって苦笑いを返す。









するとそんな話をしている時に


厨房越しに勇さんが目の前へやって来た。











「2人好きなの頼んで良いから。特別サービスな。」

「え?」

「友達連れてきた礼に奢ってやる。」










伝票を持ちながらそう言った勇さんを
私はパッと見上げる。






え?という顔をすれば




勇さんは緩く笑みを浮かべながら
「前に約束したろ。」と



私に向かって優しく告げた。










(1ヶ月も前の約束…覚えてたんだ…。)










しかもまさか本当にサービスしてくれるなんて、と

私が驚いていると



隣でカナが笑顔を浮かべながら

勇さんにお礼を言う。










「良いんですか?!
わぁ〜お兄さん太っ腹〜!ありがとうございます!」

「どーいたしまして。」

「あ、あの…
本当に良いんですか勇さん?」

「良いに決まってんだろ。
…ほら、お前もメニュー見て決めろ。」










そう言ってくれる勇さんに
私も改めてお礼を言うと


カナの見ているメニューを覗き込んで

一緒に2人で注文を決める。







< 27 / 428 >

この作品をシェア

pagetop