好きって言ったら、どうする?









そして



決まった頃に勇さんに告げると


勇さんは伝票にそれを書き込んでから

それを千切って自分のズボンの中へ入れた。









…こういう優しいところも、本当に好き。










それから少しして



注文したものが運ばれてくると

カナは はしゃぎながらその料理を見る。







相変わらず美味しそうな匂い…。










「いただきます!
……ん〜〜〜!!美味しい!」

「ふふ、美味しいね。」










勇さんが運んできたそれを口にして
カナと一緒にそう言うと


勇さんはフッと笑いながら

その場を去っていく。








多分心の中で、あの時みたいに
『そうだろ?』って思ってるんだろうなぁ…なんて




私は勇さんの背中を見ながら思う。











「柑奈、あの人って彼女いるの?」

「え?……ど、どうだろ…。」










勇さんが側から離れた隙に
カナが耳打ちでそう尋ねて来た。




けれど



思えばそんなこと聞いたことが無かった私は

その質問に 答えることができず…











「え!それも聞いてないの?!」

「う、うん…。」










すかさず、カナに怒られる。







普通好きな人の彼女の有無は
調べるのが当たり前だよね……。







そう思いながらも

今まで聞けなかった私は、やっぱりヘタレ。










「仕方ない……
私が聞いとくから、後で柑奈は1回トイレに行って席外してよ?」

「え?」

「その間に聞いといてあげるから。」










いい?分かった?と

カナが念押ししながら私に言う。






私がそれに慌てて頷くと

カナは「よし。」と言って食べる手を再開させた。








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