好きって言ったら、どうする?
*Section1
彼と初めて会ったのは
まだ、初夏に入る前の
春の終わり頃だった───。
「っ、は、離して!!
離してください…!!」
「そういう訳にもいかないっしょ〜。
可愛い子が夜に1人なんて危ないよ〜?」
─────家出をした日のこと。
夜の公園に1人でいると
突然 背後から腕を掴まれて、
数人の男子グループに囲まれた。
一気に血の気が引いたけど
抵抗しなくてはいけないと思い、
大きな声で 必死に抗議する。
…でも
相手は全く気にしていない様子で
逆にもっとヘラッと笑いながら
肩に腕を回してきた。
「家まで送ってあげるよー。
だからほら、一緒に行こ?」
「っ…嫌!やめて…!!」
そう言いながら
男子達は私の鞄を勝手に手に取って
私と一緒に公園を出ようとする。
私は彼らのその行動にゾッとしながら
必死に抵抗を続けた。
───しかし
やはり力負けで、
連れて行かれそうになる。
(やだ、怖い…っ!
誰か大人の人通ってよ…!!)
お願い、誰か助けて!
そう思いながら
必死に抵抗を続けていた時だった。
「───おい、何やってんだよ。」
─────不意に
少し離れたところから
はっきりと聞こえた---救いの声。
その声に気づいて
そっちへと振り向けば───
「────そいつ、離せよ。」
そこにいたのは
大学生くらいの お兄さんだった。