好きって言ったら、どうする?
私がそう思いながら
黙っていると
先生は「…まぁ」と
私の様子を察して
軽いトーンで こっちに告げる。
「まだ手続き締め切りまでは時間があるから。
親とゆっくり話して、決まったらまた報告してくれ。」
「あ……はい。すいません。」
「謝らなくていいよ、全然。」
先生はそう言って
優しく私に笑みを向けると
資料を片付けて
「もう戻っていいぞ」と 私に退室の許可を出した。
私はそれに頷いて
椅子から立ち上がる。
「失礼しました。」
「ん。
じゃあ次倉沢───」
そうして私は面談室を出ると
そのまま教室に戻って
そこで私を待っていたカナのもとにまっすぐ向かった。
「ただいま。」
「おかえりー!早かったね。」
カナは私を見て
笑顔を浮かべながらそう言うと
私に読んでいた雑誌を見せて
「見てこれ!」と
雑誌ページを指差す。
「ここ!新しくオープンしたんだって!
ねぇ、今度の休み行こうよ!」
「わぁ、可愛い!
うん、行こう行こう。」
「やった!楽しみー!」
カナは明るい調子で
いつものようにそう笑った。
────カナには、全部話してある。
あの後どうなって
それから私たちが…会ってないことも。
それ以来カナは私に彼の話題を出すことは無く
むしろそれを避けるように
今日まで過ごしてくれていた。