好きって言ったら、どうする?
「そういえば、あの子に連絡したの?
ほらあの、塾の王子様だった……」
「あぁ、要くん?」
「そう!その子!」
カナは私の言葉にそう言って頷くと
笑顔を浮かべて 私にそう尋ねた。
私はそれに小さく頷いて
「うん。」と返す。
「連絡したよ、帰省するよって。」
「そうなんだ?
それで、会う約束はしてるの?」
「塾の皆で集まる話は軽くね。
結構長くいるし、いつでも良いって言ってはあるんだけど。」
まだ詳しくは、と私が言うと
カナは「そっか。」と小さく笑いながら
私の話を聞いていた。
そこへちょうど電車がやってきて
私達は一旦話をやめて
電車に そのまま乗り込む。
幸い空いていて
私達は空いている椅子に 隣同士で座った。
「向こうの大学どう?
1人暮らしとかやっぱり大変?」
「大学は楽しいよ。友達も出来たし。
1人暮らしは…そうだなぁ、ちょっとだけ寂しいかも。」
ご飯もいつも1人だし、
買い物から家事は全部自分でしないといけないから
結構大変かもしれない。
私がそう答えると
羨ましそうにしていたカナは
「おぉ…」と声を出しながら
複雑そうな顔をする。
結構現実的な話だからかな?
「やっぱ大変かぁ……
じゃあきっと私には無理かな。」
「えー?
カナしっかりしてるし、大丈夫だよ。」
「いやぁ……私家事とか毎日は、ちょっと……。」
絶対サボる日とか出てきちゃうよ、と
渋い顔をするカナに
私は笑いながら「平気だよ。」と返した。
私もたまに、サボる日はあるし。
「慣れれば平気だよ。」
「うーん…そういうもんかぁ。」
カナは私の言葉にそう唸って
難しそうに腕を組みながら 考え始める。
…こういうところも、変わらないなぁ。
(変わらないものがあって…何だか安心するなぁ……。)
私はそんなことを思いながら
隣のカナを 静かに見つめる。
……変化は、少し怖い。
私はそう思いながら
小さく苦笑いをして
考え込むカナから視線を逸らし
前に 顔を向けた。