好きって言ったら、どうする?
最初ここへ金田が来た時
その催促にでも来られたのかと思い
少し身構えていた。
……正直
金田の顔はもう見たくないと思ってたから。
別に、『あの日』のキスに関して
金田は…何も悪くない。
側にいるのを許したのは俺だし、
あいつはただ俺に告白してきただけだ。
──────それを柑奈に見られたのは
全部……俺の自業自得だろう。
(………でも)
金田の顔を見ると どうしても…
『あの日』のことを思い出して
心が苦しくなると思った。
実際…
最初久しぶりに金田に再会した頃は
本当にその通りだったし。
「見た感じも…うん、前と同じくらいなってきたやん。
あんたごっつやつれとったからなぁ。」
「ご心配どーも。」
「どういましましてーっ。」
でもこうして
また以前と同じように過ごしていたら
それも…段々薄れて
普通になってきていた。
不意に見て思い出すことは未だにあるが
…もう、以前ほどじゃない。
「なぁ進藤くん。」
「ん。」
「明日ご飯でも行かへん?
あんたバイト休みやろ?」
金田は俺にそう言うと
カウンターの1番手前に座って
腰のエプロンを取る俺を
上目遣いで ジッと見てきた。
俺はそれに少し黙って考えてから
金田に 返事を返す。
「…分かった。」
いいよ、と
俺は金田に返事を返して
自分の荷物を取りに帰り、
厨房を出た。
金田はそれを聞いて
嬉しそうに両手を上げて
「やったー!」と声を上げる。
俺はその姿を見ながら
小さく 笑みを浮かべた。