好きって言ったら、どうする?
*Section12
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(……………。)
それから時間が経って…
夕方近くになり
私はカナと別れて
実家の最寄駅は向かう電車を待ちながら
私はホームに立つ。
────あの後私は
カナに「そうなんだ」と軽く返して
自分で振ったその話題を
そこで切り替えた。
そしていつもと同じように
他の話題をカナと話しながら
普通に…買い物を楽しんだ。
(………懐かしい…。)
───この駅も、このホームも。
この駅はいつも
『彼』と出かけるときに使っていた場所で
一緒に帰ったり、向かったり…
確か最初に帰ったのは
『遊園地』の日…だったっけ。
そんなことを思い出しながら
私はホームの椅子に座って
静かに…沈む夕日を眺める。
─────あれからもう、1年以上経ったのか。
私がそんな記憶に耽っていれば
すぐに電車はやってきて
私はそれに静かに乗り込んだ。
そして
やがてすぐに発車した電車の窓から外の景色を黙って見つめる。
……何もかも変わらない、1年前のまま。
でも
街はこうして変わっていなくても
『人』はすぐに 変わってしまう。
───そう、まるで私達のように。
(………何で……聞いちゃったんだろう。)
───『勇さん、今どうしてるかな』、なんて。
私は、今日のカナとの会話を思い出して
再び心の傷に自ら触れた。
…本当はもう、そんなことすら考えたくなかった。
でも
今は何を考えても『この痛み』に意識が向いてしまうのだ。