好きって言ったら、どうする?
そう願うのに
神様はいつも 残酷だ───。
「………あ。」
「………!」
前から歩いてきたその人物を認識して
私と彼女は お互いに足を止めた。
勇さんの横を通り過ぎてすぐに
目の前から……あの人がやってくるなんて。
あの───金田愛理さんが。
「……帰ってきてたんや、柑奈ちゃん。」
「あ……は、はい。昨日から……。」
「…そう。久しぶりやね。」
そう言って
1年ぶりに会った愛理さんは
以前と変わらず、やっぱり綺麗な人で。
あの関西訛りも 懐かしい感じがした。
でも
それも、一瞬のこと───。
「進藤くんに会った?
今柑奈ちゃんが来た方向に多分おったと思うねんけど。」
「!!」
懐かしさを感じていたのも束の間…
愛理さんの口から勇さんの名前を聞いて
私の中が ズキッと 酷く痛む。
愛理さんの言葉で
私は一気に 谷底まで突き落とされた気分がした。