好きって言ったら、どうする?
(……これから、2人でデート…。)
何でこんなタイミングの悪い時に会っちゃうんだろう、いつも───。
そう思いながら
私はじわっと溢れそうになる涙を抑えて
無理に笑顔を作り
心の中で『大丈夫』を繰り返す。
───大丈夫、見えてない。見えない。
あの2人が一緒にいる姿は
もう見ないようにすると決めたんだ。
私が振り返らなければ
その姿は見えないんだから───。
「……だから、平気。」
見なければ、この先思い出すこともない。
見なければ、何も知らなくて済む。
───『あの日』見た『現実』のように。
私はそう言い聞かせながら
その場から一歩一歩 歩き出して
後ろの『現実』から ゆっくりと逃げ去った。
「───北澤?」
そして『現実』から遠ざかろうとした先で
またもこうやって
ヒーローが目の前に現れたのは
もう……何かの運命なのだろうか。
そう思わずにはいられないほど…偶然すぎた。