好きって言ったら、どうする?
「………要、くん…。」
「やっぱり北澤だ───って、あれ…
…北澤?泣いてるの?」
こうしてまた私を助けれくれたのは
1年前と変わらず
優しくて格好いい 王子様のような彼
────要くんだった。
そしてまた
あの日のようにこちらへやってきて
優しい顔で…そう尋ねてくる。
「…ううん、泣いてないよ。」
「……うん。でも 泣きそうじゃん。」
相変わらず察しのいい彼が
私に近寄ってきて 顔を覗いてくれば
こちらへ優しく微笑んで そう言う。
本当にまるで『あの時』と同じ……。
「帰省するって言ってたから
こうやって外歩いてたんだけど……今日は外出て正解だったな。」
要くんはそう言いながら
そっと…私の手を優しく掴んで
その柔らかい笑みのまま、軽く自分の方へ引っ張った。
「っ……要くん…?」
「ねぇ北澤。少しだけ俺と散歩しよ?」
───え?
ポカンとする私の手を
要くんは返事を聞くよりも先に
優しく引っ張りながら歩き始めて
まるで私が逃げてきた場所から
遠ざかるように 前へ進む。
この手はいつも、私を救ってくれる───。
(ありがとう……ありがとう、要くん…っ。)
私は彼の背中を見上げながら
心で何度も、そう呟く。
やっぱり要くんは
いつでも私の───ヒーローだ。