好きって言ったら、どうする?
「1年ぶりだね。何かこうして北澤と居るのがすごい懐かしい。」
「…そうだね。懐かしい感じする。」
しばらく歩いてから
要くんが手を離して 私の隣を歩く。
昔はこうやって
よく塾の帰りに話したりしたなぁ───。
あれからまだ1年しか経っていないのに
随分と…昔のことのような感じがする。
(そういえば要くんと仲良くなったのって
遊園地で遭遇してからだっったっけ…。)
それまでお互い顔見知り程度で
ちゃんと話したことなかったけど
あの時偶然会ったから
一気にこうして 仲良くなったんだよね。
話すようになってから
家が近いことも知って、
一緒に帰ったりする仲になって───
(そういえばあの時の遊園地は
確か私は勇さんと一緒に来てて───)
そこまで思い出してから
私はやっと ハッとした。
しかし
気づいた時には遅く
ズキンッ───と 胸の中が大きく痛む。
それに 私は思わず片手で胸を押さえた。
(馬鹿だな私、自分で思い出すなんて…。)
自分でそう思いながら
私はそっと 視線を下に下げた。
自分で避けておきながら思い出すなんて
本当に馬鹿だと思う。