好きって言ったら、どうする?







「………北澤はまだ、お兄さんが好きなの?」

「……まさか。とっくにフラれてるんだもん、もう好きじゃないよ。」

「でもその割には、結構未練残りまくりなんじゃない?」








そんな私を横から見つめる要くんが


いつもの優しい口調のまま
私にそう尋ねてきた。








あの頃と変わらないまま





要くんには本当にいつも お見通しだ。









───忘れられるわけないじゃないか。あんなに好きだった人を。








自分でもどこかで分かっていた。








忘れることなんて出来ないような
大きな傷になって



私の中に一生残る『彼』の存在を。









……だけど、仕方ないじゃない。









「嘘でもそう言ってないと
いつまで経っても 前向けないもの。」










───私にはもう 諦める道しかないんだもん。







今更気持ちを掘り返したところで

私に勝ち目はない。










勇さんはもう





愛理さんのものだから───。








< 348 / 428 >

この作品をシェア

pagetop