好きって言ったら、どうする?
「……勇さんのことはとうに諦めてるし。
だからあとは新しい恋を探すのみ。」
「………。」
「…な、なーんて
恋愛経験全然ない私が言うと何か生意気だね!あははっ…。」
暗いことばかり言って
重くなってしまった空気をどうにかしようと
私はそんなことを言って 小さく笑う。
…もう、私だって高校生じゃない。
いつまでも
ヒーローに頼ってばかりというわけにもいかないんだ。
そう思って
私は話を切り替えようと
笑顔を作って 要くんの方を向く。
───しかし
「───っ!」
彼の方を向いた刹那───
急に視界が真っ暗になって
要くんの香りを 鼻元に強く感じる。
そしてそれと同時に
背中に、力の込められた腕の存在を…確かに感じた。
(っ……………!)
───何が、起こってるの?
「………か、なめ…くん……?」
「…じゃあ、俺にしなよ。」
「…え…?」
まるで
これもまた『あの日』と同じ光景で
ただ少し違うのは
私が泣いていないことと……
「───俺にしなよ、北澤。」
要くんが私へ
…そう、告げたこと。