好きって言ったら、どうする?







「……北澤と会ったんですね。」

「敬語はやめろ、気持ち悪ィ。
…あぁ、会ったよ。偶然な。」

「じゃあお言葉に甘えて。
……北澤、泣いてたよ。」









(──────!!)









俺はそれから


こいつから出た言葉に
思わず…静かに目を見開いた。






思いもよらない言葉に
驚きながら


俺は真っ直ぐに こいつを見る。








────柑奈が、泣いてた?









(っ……何で……)









俺がそう思っているのを察したのか


要は俺を見ながら
呆れたように小さく笑って



そしてそれから…俺に言う。









「あんたがそうやっていつまでも
あの女の人といるからでしょ。」

「!」

「……進藤さんも北澤が好きだと思ってたのに、もしかして俺の目は節穴だったのかな?」









要はそう言うと



手袋をした手を自分のコートのポケットに入れながら

ふーーっ…と、小さく息を吐いた。








俺はそう言ったこいつの言葉に

何も言い返すことができず




黙って…その言葉を受け止める。








……金田に、会ったのか。









(だから…金田もあいつが帰ってきてること知って……。)








何となくその理由が腑に落ちて

俺は静かに 小さなため息を吐いた。







……本当にいつも、タイミングが悪い。









────片付いたと思えば

またこうして、問題が出てくる。








……どうして俺は


柑奈を傷つけることしかできないんだろう。







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