好きって言ったら、どうする?
(……駅から出てきたあいつは)
俺を見たとき
驚きと罪悪感と…あと何か
複雑な感情を抱いてるような
そんな顔で俺を見ていた。
何か言いたそうにしながらも
それを全て飲み込んで
…他人行儀な顔して、俺に挨拶してきた。
(………何で…)
何であの時
俺はあいつを責めるような言葉ばかり
あいつに言ったんだろう。
本当はもっと、言うべきことがあったはずなのに
口から出たのは
『勝手にいなくなった』ことに対しての
責める言葉ばかりで────
俺があいつを
『勝手に出て行かせた』ことに
何も…何も言えなかった。
………謝れなかった。
(………俺はまた)
俺はまた、柑奈を傷つけた。
ちゃんと金田に対しての気持ちを
はっきりさせなかったせいで
ちゃんと、あいつに謝らなかったせいで
俺は柑奈を……また、泣かせたんだ。
俺はそう知った瞬間に
その場にしゃがみ込んで
そして口元に手を当てながら
大きく…息を吐いた。