好きって言ったら、どうする?







「っ………!」









そしてそこに立つ人物に

思わず、目を見開く。







逆光で少し見えにくいけれど




そこにいる"彼"も…

私を見て、目を見開いていた。










「…………柑奈…。」

「っ………勇、さん…。」










そして静かに私の名前を呼ぶと




少しお互い黙って…その場で見つめ合う。









っ………どうして、ここに……。









「………すげぇ偶然、だな。」

「……そ、そうですね…。」










そしてその沈黙を破るように

勇さんが私にそう言って




私はそれに、少しぎこちなく
返事を返した。








──────心臓が、うるさく鳴る。








私が苦しい鼓動に
思わず胸を押さえていると




不意に 勇さんがこちらに近づいてきて





そして私の目の前までやってくると

あの優しい声で…私に尋ねた。









「………隣、座っても良いか。」

「……はい…。」









そして 私はそれに短く答えると



彼の方を見ないように

さっと、視線を海に向ける。









──────ドクンッ、ドクンッ…










姿を見なくても感じる隣の存在に


私はどんどん苦しくなる胸で
『大丈夫』を静かに繰り返しながら






静かに……海を見つめた。







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