好きって言ったら、どうする?
──────ねぇ、どうして?
(どうしてそんな……っ)
切ない目を
私に向けるの──────?
私はそう思いながら
静かに彼の言葉に目を見開いて
ドクドクと鳴る自分の鼓動を
リアルに
自身で…感じる。
「……何言ってるんですか。」
そして
ようやく出た言葉は これで。
私は自分のこの高鳴りを
落ち着かせるように
深く息を吸って
そして静かに……それを吐き出した。
────そして無理矢理に笑顔を作り
薄く笑ったその顔で……彼に返事をした。
「勇さん…彼女いるじゃないですか。」
────愛理さんが、いるじゃないですか。
決してそう言えなかったのが
私の弱さで
私が精一杯その言葉を吐き出すと
勇さんはその切なげな視線を
一瞬…下に下げて
私から視線を逸らすと
そのまま────地平線に 視線を戻した。
「……そうだな。
…確かに、ありえねェな。」
そして小さくそう呟いた彼。
私がそれに
「…はい。」と小さく返事をすると
再び……2人の間に、寂しい沈黙が訪れる。
───何で、そんなこと言うの?
(…諦めるって、決めたばっかりなのに。)
私はそう思いながら
静かに目を閉じて
膝に置いた手を ギュッと握る。
涼しい波風が
2人の間を────すり抜けていった。