好きって言ったら、どうする?









「……明日の夜。」

「……。」

「……明日の夜お前に…
これまで言えなかったこと、全部話す。」











─────そんな時に






不意に勇さんが私にそう言ってきて

私は黙ってそれを聞く。







明日……24日は クリスマスイブ。








普通なら恋人と過ごすだろうその日を


何故か彼は
私に費やすというのだ。








私は意味がわからず

「ぇ…」と 思わず声を漏らす。










「…勇さん…?」

「……明日の夜7時。
…去年と同じ場所で、待ってる。」










(─────!)










すると彼が

不意に、そんなことを言ってきて





私はそれを聞いて

思わず目を見開き、彼に視線を向けた。









……去年と同じ場所、同じ時間。









何でこんな時に限って

そんな話題を…出してきたのか。









私は1度息を飲んでから

再び視線を逸らす。











「……そこでお前に言えなかったこと、ちゃんと言う。
それ聞いてもお前が会いたくないなら…
俺はもう、お前の前には現れない。」

「…っ……。」

「……だから決めるのは、その時にして欲しい。」








────頼む。








顔を逸らし、何も言わない私に

勇さんは真剣にそう告げると




そのまま私に 真っ直ぐな視線を向けた。








私はそれを振り切るように
その場から立ち上がると



彼に背を向けて、その場を去ろうとする。









「お前が来るまで 絶対待ってる。」

「っ…。」

「……【絶対】だ。約束する。」










──────そんな時に 強く







強く…彼はそう発して





「本気だから。」と
それに続けて私に言った。










────その言葉に泣きそうになるのを

私は必死に 我慢する。









……振り向くな。




振り向いたら…離れられなくなる。









私はそう自分に良い聞かせながら

止まっていた足を 前に進めた。











「……またな、柑奈。」










"またな"─────








背後で

そう言った、彼の声が聞こえる。







私はその彼の言葉を無視して
振り切りるように






彼をその場に置いて…そこから立ち去った。









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