好きって言ったら、どうする?
……また、思い出してしまった。
「………。」
「……北澤?…どうかした?」
(─────!)
そんなことを考えていると
不意に目の前の彼から
心配そうに顔を覗かれて
私はハッとして、意識を現実に戻す。
そしてすぐに笑顔を浮かべて
彼に向かって、首を振った。
「ううん、ごめん。何でもない。」
「………。」
───今は要くんといるのに
勇さんのことを思い出してばかりで
私は本当に…失礼だな…。
私は心の中でそう思いながら
お店の窓から見える
園内の景色を静かに見つめる。
……彼のことは、忘れないと…。
「お待たせいたしました───」
そんな時に料理が運ばれてきて
私たちはそれを受け取り
約束通り、互いの料理を2つに分けた。
そしてゆっくりと食事を始める───。
「………。」
その間
要くんが何かを考えながら
顔を曇らせていたことに
私は少しも、気づかなかった───。