好きって言ったら、どうする?
(………変、なの…)
……こんなに優しくてかっこいい王子様みたいな人と
こんなに素敵な場所にいるのに
どうして……どうして今私は
こんなにも───悲しいんだろう。
「………。」
私はそう思いながら
黙ってここから見える景色を
ジッと…眺めていた。
……こんなに、幸せで光栄なことは…ないはずなのに……。
「……北澤。」
そんなことを考えていれば
不意に隣の彼から
静かに名前を呼ばれて
私はそれに気が付いて
隣に立っている要くんを…静かに見上げる。
(………?…)
要くんは私と目を合わせると
何だか少し困ったように笑っていて、
何か言いたそうに…私を見下ろしていた。
私はそんな彼の表情を眺めながら
どうしたのだろう、と
彼を見つめ続ける。
「………要くん…?」
「……北澤は……本当に優しいね。」
(………え…?)
私が彼の名前を呼ぶと
要くんが不意に私へそう言ってきて
私は思わず目を丸くして 彼を見た。
……要くん…?