好きって言ったら、どうする?
「………。」
要くんは
いつもの優しい笑みを浮かべたまま
私を見下ろしていて
私はそんな彼の真っ直ぐな視線を
静かに受け止める。
そんな私を見ながら
要くんが不意に 口を開いた。
「……好きだよ、北澤。」
「…!」
「素敵で大好きな…大切な子だ。」
要くんは私にそう言うと
手を繋ぐ力を少し強くして
私を真っ直ぐ捉えている。
───突然の2度目の告白だった。
私はその彼の言葉に
少し驚いて目を丸くしながらも
何か言いたげなその瞳に気づく。
───ドクン、ドクン、と
鼓動が速くなるのを感じた。
「好きな人には幸せになって欲しい。
…出来るなら、この自分の手で。」
「………。」
「…俺だって、そう思ってる。」
─────でも
「…俺は北澤を……幸せにはできない。」
(………っ…。)
要くんはそう言うと
眉を下げながら
困ったように笑って私を見る。
それから繋いでいた手を
強く握っていたその手を───静かに、離した。
私はそんな彼を見上げながら
思わず小さく、目を見開く。
「……北澤を見てて分かったんだ。
…君が幸せになるには…俺じゃダメなんだって。」
「っ………要、くん……。」
要くんは
私にそう言いながらも
どこか切なく、苦しそうで
私はそんな彼を見て 酷く胸が痛んだ。
……そんなこと…考えて、くれてたの…?
「……北澤。」
「………。」
「…まだ間に合う。
次は…きっと絶対に、間に合うから。」
「っ……。」
「だから……行っておいで。」
彼の言葉に何も言えない私へ
要くんは背中を押すように
そう言って、微笑んだ。
───まるであの日私を抱き締めた時と
同じような 優しい声で。